活動報告
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全道ザリガニサミット in 円山動物園
ウチダザリガニは非常に繁殖力が高く、それゆえに世界中で外来生物として警戒されています。私はニホンザリガニの保全活動に力をいれてきました。ウチダザリガニにはあまり関心がなかったのですが、最近になってウチダザリガニがニホンザリガニを駆逐してしまうような事態を目の前にして危機感を感じ、ウチダザリガニバスターズを設立しました。
先ほど春採湖の話がありましたが、私が50年ほど前に釧路に住んでいたころには春採湖や近くを流れる沢にはたくさんのニホンザリガニが生息していました。魚もいろいろいました。でも今は見る影もありません。ウチダザリガニが大きく環境を変えてしまったのです。
帯広市内を流れる川は今、大半がウチダザリガニの繁殖地です。十勝管内にはほかにもウチダザリガニが生息している場所がたくさんあり、繁殖もしています。十勝川には広範に生息し、場所によってはウチダザリガニだらけです。均等に生息しているのではなく、ある特定の場所にたくさんいます。
平成11年ウチダザリガニを退治する会の活動の様子
ウチダザリガニ退治の最前線。この200m上流にニホンザリガニの生息地があります
このサイズのウチダザリガニも駆除。トラップでは捕獲できな い小さいサイズ も手網なら捕れる
無名川風景。農地の中を流れる小川
今日は機関庫川とその支流の無名川についてお話します。無名川には大変高密度にニホンザリガニが生息している場所があります。そして、ニホンザリガニの生息地の手前200mまでウチダザリガニが侵入しています。
10年前の調査では無名川にウチダザリガニはいませんでした。9年前に生息が確認され、1年に約100m移動して、現在の位置まで来ています。
ウチダザリガニはニホンザリガニの巣を奪い、食べてしまいます。また、ザリガニペストと呼ばれる病気を持っていて、ウチダザリガニは保菌しても生きていられるのですが、ニホンザリガニは感染すると死んでしまうと言われています。また、ウチダザリガニは1カ月に300m移動したという報告もあります。
帯広市のあたりは、約1万年前は琵琶湖よりも大きな湿地でした。開拓が入る前は湿性のカシワ林でした。今はほとんど畑になり、豊かな農業地帯です。ニホンザリガニは、昔はどこにでもいる生き物でした。「ニホンザリガニの保全をしている」と言うと、年配の方からは「どこにでもいるだろ。よく味噌汁にして食ったもんだ」と言われます。確かに昔は味噌汁にして食うほどいました。「ではいるところを教えてください」と言うと、「今はいなくなった」「ちょっと前までいたんだけどな」というのがほとんどです。
帯広市では札内川と十勝川の間に小さい川がたくさん流れています。段丘があって湧水のあるところで斜面に木が残っているような場所に、わずかにニホンザリガニが孤立した個体群として残っています。
無名川は河川改修により直角に曲がって機関庫川に注ぐようになりました。いつ改修したか調べましたが、分かりません。機関庫川にはウチダザリガニが生息し、直角に曲げた河川改修により機関庫川から無名川にウチダザリガニが侵入するようになりました。ウチダザリガニの生息している区間にはニホンザリガニは一匹もいません。今までのスピードから考えると、あと2年間で無名川に残ったニホンザリガニの生息地の下流の限界に達します。私たちは何とか無名川のニホンザリガニを守ろうと、ウチダザリガニバスターズを結成しました。事務局を帯広市環境保全推進会議の生きもの部会に置き、企業、個人、市民団体など幅広い人たちが参加し、帯広市からの助成を得て活動しています。無名川だけでなく、ウチダザリガニの供給源である機関庫川のウチダザリガニも駆除しています。
帯広工業高校の協力を得て、環境調査の実習として年間800匹~1000匹を駆除し、記録もとっています。また、市民参加で駆除会を行うこともあり、子どもたちがたくさん参加します。子どもたちに「殺す」というのは情操教育上よくないと思うので、「食べましょう」と呼びかけています。
十勝では温泉排水のある場所にアメリカザリガニも生息しています。3種のザリガニすべてがいるのです。以前は2カ所しか確認されていませんでしたが、今は生息地が増えています。公園の池など温泉排水ではない場所でも生息が確認され、繁殖もしています。冷温に慣れてきたのではないかと思われます。アメリカザリガニはニホンザリガニと生息地が重なることはありませんが、生態系にどんな影響を与えるか分かりませんから問題です。
ウチダザリガニバスターズは、目の前でニホンザリガニの生息地が失われるのを何とか防ぎたいと活動しています。これからもニホンザリガニの生息地を最前線で守っていきたいと思います。
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