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全道ザリガニサミット in 円山動物園

須藤 親則

ペットショップでニホンザリガニに出会う人

日本蜊蛄繁殖路道

須藤 親則

私は繁殖を目指してニホンザリガニを飼育しており、その様子をブログで紹介しています。飼育者である私がニホンザリガニのためにできることはないかと考えてきたことを本日お話したいと思います。

私の住んでいる関東にはニホンザリガニは生息していません。ザリガニというと、アメリカザリガニのことです。自然の中にはいないニホンザリガニとどういう形で出会うかというと、まずペットショップです。実際に私もニホンザリガニをはじめて見たのはペットショップでした。プラケースの中に入れられ、冷却装置もない状態で販売されていることもあり、良い環境とは言えません。

もう一つの出会い方は、ネットのオークションです。最近は貴重な青いニホンザリガニが出品されることもあります。

ニホンザリガニは絶滅危惧種であり、飼育すべきではないと考える人も多いと思います。しかし、絶滅危惧種であるからこそ飼いたい、珍しい生き物で飼育が難しいからこそ飼いたいと、購買意欲をそそってしまうのも現状です。また、希少であるにも関わらず、ペットショップではさほど高くない値段で販売され、気軽に入手できます。

日本蜊蛄繁殖路道

販売する側が提供する飼育の情報も十分とは言えません。私がはじめてペットショップで購入した時も、特別な説明はありませんでした。

ニホンザリガニは粗悪な環境で飼育され、無為に消費されているのが現状です。

私のブログに寄せられてくる声によると、ニホンザリガニを飼育している人たちは、ガラス越しに観察したいと考えている人が多いようです。私は冷蔵庫を使って飼育していますが、やはり水槽と比べると鑑賞はしづらいです。冷却装置を導入すればいいのですが、大変高価で経済的負担は大きいです。

飼育環境が悪いばかりでなく、誤解も多く、28度くらいの常温で飼育できると考えている人もいます。なぜこうした誤解が起こるのかというと、生息地を観察する機会がないことや、熱心さに欠けることが原因だと思われます。

その結果、飼育者からはニホンザリガニにとって有益な情報が蓄積しにくいのが現状です。このままでは飼育者はニホンザリガニに対してマイナスのインパクトしか与えることができません。排除対象です。ニホンザリガニに対して興味を持っていることはプラス要素であるはずなのに、残念なことです。

私の身の回りにはニホンザリガニに興味を持っている人はほとんどいません、存在自体を知らない人がほとんどです。そんな中、ニホンザリガニに興味を持っているだけで貴重な人材になるはずです。一人でも多くの飼育者を排除対象から戦力に変えていけないかというのが私の思いです。

ニホンサジリガニを購入した時点で生息地に負担を与えているわけです。しかし、飼育者の得意分野を活かすことで戦力に変えていくことができるのではないかと私は考えました。

具体的には、まず繁殖です。難しいことですが、飼育・繁殖技術を確立させ、それを公開すれば、いろいろな可能性が広がっていきます。

ます、生息地が近くにある場合、増やした個体を元いた生息地に帰すことができます。これができれば、すばらしいと思います。

生息地が不明な個体から繁殖させたものは、遺伝子かく乱の問題があるので放流はできません。現状ではペットショップやネットオークションで販売されているニホンザリガニは生息地から捕獲してきた個体ですが、繁殖させた個体のみを流通させれば、生息地へのダメージを減らすことができます。

私が住んでいる関東ではニホンザリガニのことは知られておらず、アメリカザリガニの小さいものがニホンザリガニだと思っている人もいます。私はもっともっとニホンザリガニのことを知ってもらいたいと考えています。そのためには、見て、ふれることが大切です。こうした教育のための教材として繁殖させた個体を使えればいいと思います。

私は飼育者として絶滅危惧種であるニホンザリガニのために何か一つでもできたらいいと思ってここに来ました。飼育するに当たってはいろいろな問題もあります。しかし、しっかりとしたモラルを持っていれば、ニホンザリガニの保全のためにできるとことはあると考えています。深刻な危機にあるニホンザリガニがいつまでも輝き続けていられるように願っています。

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