活動報告

「ザリガニ調査・観察会 in 北海道子どもの国」を行いました

2012年8月5日

「ザリガニ調査・観察会in北海道子どもの国」を行いました田中さんのお話に熱心に聞き入る参加者の皆さん

「ザリガニ調査・観察会in北海道子どもの国」を行いました標本を使って3種のザリガニの見分け方や雌雄の判別を確認しました

「ザリガニ調査・観察会in北海道子どもの国」を行いました脱皮の仕組みを知る実験の様子

「ザリガニ調査・観察会in北海道子どもの国」を行いました仕掛けたかごわなにはアメリカザリガニは入っていませんでした

毎年恒例となっている「北海道こどもの国」(砂川市)での「ザリガニ調査・観察会」を8月5日(日)に行いました。(財)北海道子どもの国協会と「ザリガニと身近な水辺を考える会」の共催で、砂川子どもの水辺協議会の後援をいただいています。

9時30分、施設内のレストハウスに参加者20人が集合しました。でも、残念ながら朝から雨です。小雨決行の予定でしたが、かなりの雨だったので観察会は中止。会のメンバーでザリガニ博士の田中一典さんによるザリガニのお話と実験を行いました。

北海道にはニホンザリガニ、ウチダザリガニ、アメリカザリガニの3種類のザリガニがすんでいること、そして3種類の見分け方を標本を見ながら確認しました。「北海道こどもの国」の敷地内には在来種で絶滅危惧種のニホンザリガニが生息している一方、池には外来種のアメリカザリガニがいます。

アメリカザリガニはニホンザリガニと生息地が重なることはありませんが、生態系に悪い影響を与える生き物として環境省により「要注意外来生物」に指定されています。人の手によって放流されて広まり、本州以南では田んぼなど身近な水辺環境にたくさんいます。以前は北海道では越冬できないと考えられ、温泉排水のある場所など限られたところにだけ生息していました。しかし近年、生息地が少しずつ増え、越冬する個体も確認されています。

もうひとつの外来種ウチダザリガニは生態系により悪い影響を与えることから、特定外来生物に指定されています。天然記念物や貴重な生き物がいる阿寒湖や春採湖、然別湖にも広がっているので心配です。これ以上広まらないよう、外来生物に対する正しい知識や情報を持つことが大切です。

お話の後は、ザリガニの脱皮の仕組みを理解する実験を行いました。ザリガニは脱皮する前に体中のカルシウムを目の横にある胃に集め、胃石を作ります。カルシウムが抜けて柔らかくなった殻を脱いだ後、胃石を溶かして全身にカルシウムを行き渡らせて殻を固くします。

田中さんが取り出したのは酢。まず炭酸カルシウムでできた貝殻を中に入れると、小さな泡が出ているのが分かります。これは炭酸カルシウムが酢と反応して二酸化炭素を作るためにできた泡です。次に田中さんは直径1mmくらいの白い小さな玉を取り出しました。これがザリガニの胃石。この胃石を酢に入れると、同じように小さな泡が出て、石は少しずつ小さくなりました。胃石も炭酸カルシウムでできているのが分かります。

淡水にすむザリガニは貴重なカルシウムを無駄にしない仕組みを進化の末に身につけました。これは、ほかの甲殻類にはない、優れた能力です。

実験が終了し、そろそろ講座も終わろうかという時間、外を見ると雨が上がっていました。途中で雨が降るかもしれないので希望者だけ、と呼びかけたところ、全員がザリガニ調査に行くことに。まずはニホンザリガニの生息地に向かいます。毎年行っている沢ですが、今年も大小さまざまなニホンザリガニがたくさん見つかりました。時間がないので計測などは行いませんでしたが、このすばらしい環境が来年も続いていくようにみんなで大切に見守りましょうとお話しました。

次に公園内の池に向かい、前日から許可を得て仕掛けておいたかごわなを引き上げました。でも、アメリカザリガニは1匹もいません。ちょっと残念な気持ちのある人もいたかもしれませんが、少なくなっているとしたら、良いことです。これからも外来生物を広めないように、もし飼う時はきちんと最後まで責任を持って飼うことを確認して、調査・観察会は終了となりました。

(事務局・野谷悦子)

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