活動報告
小樽でニホンザリガニ観察会を行いました
ニホンザリガニの体の特徴について説明する田中さん
8月18日、小樽博物館との共催でニホンザリガニ観察会を行いました。博物館との共催の観察会は昨年度も企画していましたが、大雨のために中止。今年こそと臨んだ当日は天候にも恵まれ、25人の参加がありました。講師は会のメンバーでザリガニ博士の田中一典さんです。
観察会を行ったのは張碓の川です。通常、ニホンザリガニの生息地は深さ数cm、幅数10cm程度の小さな川が多いのですが、この川は川幅が広くて水量も多く、珍しい環境です。ニホンザリガニは川岸近くの水量が少ない淵の石の下などに潜んでいます。
この日の参加者は25人。親子連れや、おじいさん、おばあさんとお孫さんで参加した人もいます。約15mのエリアで20分程度捕獲を行い、85匹を見つけることができました。大きさは小さいものから大きなものまでさまざまで、良い環境が保たれていることが分かります。
捕まえたザリガニを観察しながら、「足は何本?」と田中さん。数えてみると、全部で10本あります。そのうちはさみがついているのは6本、大きなはさみ2本のほかに、よく観察すると小さなはさみもあります。4本は1本爪です。じっくり観察してみると、さまざまな発見があります。
参加者からは「天皇が食べたって本当?」「天敵は何?」「減っているのはなぜ?」と質問が出ました。田中さんは以下のように答えました。
昭和天皇がニホンザリガニをポタージュスープにして召し上がったことは記録として残っています。きっととてもいいだしが出たのでしょう。おじいさん、おばあさん世代の人たちの中には昔はニホンザリガニをよく食べたという人もいます。
ニホンザリガニが生息するような小さな川にはほとんど天敵となる生き物はいません。生態系の頂点です。湖のような場所にいる場合は魚に襲われることがあります。また、川の外の生き物、例えばサギなどに食べられることがあります。
生息地が減ったのは森林の伐採や開発、水が生活排水で汚れたなどが原因です。広葉樹の森は水をきれいにする働きがあるし、エサとなる落ち葉を提供します。ニホンザリガニは豊かな森ときれいな水がなければ生きていけません。幸い小樽はまだニホンザリガニの生息地が比較的残っています。大切に守っていきたいものです。
(事務局 野谷悦子)