活動報告
円山動物園で「ザリガニシンポジウム 2015」を開催しました
2015年8月9日
毎年恒例となっている札幌市円山動物園でのザリガニシンポジウム。今回のテーマは農村や農地におけるニホンザリガニの保全です。ニホンザリガニの生息地の減少は都市化による開発だけでなく、農村地帯でも同様です。残された貴重な生息地を守っていくには、継続したモニタリングによる生息状況の確認や、農地の基盤整備の際にダメージを与えないような配慮が必要です。近年、農業は環境や生物多様性に配慮して行われるようになっています。農村地帯や農地にニホンザリガニがいた時、ニホンザリガニを守りつつ農業を行うには、どうしたらいいのか、各地の取り組みを紹介していただきました。
今回は農業高校や農業系大学の学生の発表もあり、若者たちがニホンザリガニに興味を持ち、調査や研究を続けていることを大変うれしく思いました。
また、特別ゲストとしてスペイン王立植物園のアギーレ・ウリベオンド副園長が「南ヨーロッパでのザリガニ保全の取り組み」と題して講演しました(通訳は当会代表の川井唯史)。ウリベオンドさんは昨年円山動物園で行われた国際ザリガニ学会でも来札され、すっかり札幌が気に入った様子です。
スペインでも在来種のザリガニの生息が減り、さらに外来ザリガニの影響もあり、北海道と共通の問題を抱えています。市民への啓発や市民と研究機関の協働による保全活動も熱心に行われ、私たちの会の活動にとっても学びの多い内容でした。
シンポジウムの後、園内のニホンザリガニ飼育施設を担当飼育員の案内で見学しました。
発表者と演題は以下の通りです。
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「南ヨーロッパでのザリガニ保全の取り組み」
アギーレ・ウリベオンドさん(スペイン王立植物園副園長) -
「札幌市および清水町におけるニホンザリガニの生息状況」
須網 瞭太さん(酪農学園大学農食環境学群環境共生学類4年) -
「真狩村におけるニホンザリガニを通した連携事業について」
三野 雪絵さん、梅原 莉央さん(真狩高校農芸科学科有機農業コース2年) -
「布団篭によるニホンザリガニの保全」
鏡 坦さん(帯広ウチダザリガニバスターズ)
(事務局 野谷 悦子)