活動報告
円山動物園でシンポジウムを開催しました
ザリガニ釣りは子どもたちに人気
脱皮の仕組みについて実験しながら解説するメンバーの田中
普段は非公開のニホンザリガニ飼育施設を見学
動物園生まれの稚ザリガニ
流水ビオトープを見学
9月8日日曜日10時~12時、円山動物園と共催でシンポジウムを開催しました。9時30分に開場し、10時に講演会がスタートするまでの待ち時間には紙で作ったザリガニの釣り堀コーナーとザリガニの脱皮の仕組みが分かる実験を行いました。
釣り堀に使った紙のザリガニはニホンザリガニの体の作りをリアルに再現しています。ホームページ内に型紙があるので、ぜひ作ってみてください。
ザリガニは脱皮する直前に体中のカルシウムを目の後ろに集めて胃石を作ります。脱皮した後はこの胃石を溶かして体にカルシウムを補給します。カルシウム分の少ない川にすんでいるため、大事なカルシウムを無駄にしないエコな仕組みです。実験では本物の胃石を酢に溶かし、気泡が発生することからカルシウムでできていることを確認しました。
講演会はまず代表の川井唯史が「清流のシンボル、ニホンザリガニは今」と題して講演しました。ニホンザリガニが生きていくためには冬でも水が枯れず、夏も冷たい水温が保たれる水環境が必要です。そうした環境にはきれいな湧水があり、ニホンザリガニが清流のシンボルと言われる所以です。ニホンザリガニがすめる環境は近年急速に減っています。みんなが関心を持ってザリガニがすめる水辺を見守っていきましょうと話しました。
続いてメンバーの田中一典が「どうする?外来ザリガニ」をテーマに講演。ザリガニではウチダザリガニとアメリカザリガニが問題になっていますが、ほかにもアライグマなどたくさんの種類の外来生物が北海道にいます。そして、外来生物に対する理解の不足がどんどん生息域を広げている側面があります。一度飼ったペットは最後まで責任を持って飼うこと、決して野に放たないことを強調しました。
最後に円山動物園のニホンザリガニ担当飼育員の吉田淳一さんが動物園で取り組む「ニホンザリガニプログラム」の進捗状況について話しました。50年前の円山の原風景を取り戻すことを目標として、残り少なくなっている円山産のニホンザリガニを動物園で繁殖させ、園内に造設した流水ビオトープに放流する計画です。
昨年、3ペアの交尾を確認し、今年は産卵・ふ化に成功しました。現在、稚ザリガニの飼育を行っています。流水ビオトープの水温のモニタリングや冬場の水の状態についての調査も同時進行で行っており、プログラムが少しずつ進んでいることを話しました。
講演会終了後は普段は非公開のニホンザリガニ飼育施設と流水ビオトープを吉田飼育員のガイドで観察しました。今年はふ化したばかりの稚ザリガニを見ることもでき、ラッキーだったと思います。
(事務局 野谷 悦子)