活動報告

日本生活教育連盟研究集会に講師を派遣しました

2014年8月8日

8月8日、定山渓で行われた2014年日本生活教育連盟第66回夏季全国研究集会の文化活動実技講座に講師派遣の協力をしました。7つある講座のうちの一つを担当し、講師は当会の田中が務めました。参加者は11名で、講座では、ニホンザリガニと外来ザリガニの生態や体の不思議について紹介しながら、外来生物の問題について考える機会を提供させて頂きました。

また、体の不思議に関しては、成長過程で起きる脱皮の仕組み、ザリガニの体を覆っている殻の成分がカルシウムであることを確かめる実験、ニホンザリガニとアメリカザリガニの水温特性の違いを確かめる実験を行いながら、知っているようで知らないザリガニの秘密についても紹介させていただきました。

講座の要旨は以下のとおりです。

日本には、ニホンザリガニ、アメリカザリガニ、ウチダザリガニの3種類のザリガニが分布しています。そのうち、北海道でのみ3種類すべてのザリガニが分布しています。ニホンザリガニは日本固有種であり、各行政組織から「希少種」に指定されています。他の2種は昭和初期頃に北米から移入された外来種です。

3種類がいる北海道では「ザリガニが3種類もいてすごいね」という人や外来生物に対する認識を持っていない人が多くいます。近年、北海道ではニホンザリガニの分布域が減少し、外来ザリガニのウチダザリガニやアメリカザリガニが急速に分布域を拡大している状況にあります。

外来ザリガニの分布域拡大は、外来生物に対する認識をもたない人為的な放流にあります。在来生態系に与える影響や放流について個々人が正しく理解していれば、あとを絶たない新たな定着を避けることができます。そのためには大人にかかわらず、子どもたちへの自然環境教育や外来生物問題についての教育が必要です。

とりわけザリガニ類は、身近な生き物であり親しみを持って誰でもが実践できる体験型の学習が可能な教育効果の高い教材です。特に実体験型の観察会や防除活動は、生体を手に取りながら学習できるため、外来生物に関する知識や防除の必要性、外来生物放流の危険性、在来生物が絶滅危惧種に指定されるほど減少している状況について、より記憶に深く刻まれる環境教育の場になります。

在来生物の生息域減少や外来生物の急速な生息域拡大の根本的な原因は人間活動にあります。この現状や外来生物の影響について個々人の理解を深め、身近な自然環境や水辺環境を後世に残すために、色々な機会を捉えて、『繰返し・繰返し』継続して話をしていくことが重要です。

以上、今後も、機会があれば、講師派遣を実施してまいります。

(田中一典)

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