活動報告
然別湖でウチダザリガニ駆除体験会を実施しました
かごにはたくさんのウチダザリガニが入っていました
卵を持っているウチダザリガニもいました
10月8日祝日、鹿追町との共催でウチダザリガニ駆除体験会を実施しました。場所は豊かな自然を満喫できる観光地として有名な然別湖。天然記念物のミヤベイワナが生息することでも知られています。町内や近隣の市町村から約30人が参加してくださいました。
然別湖にはかつてはニホンザリガニがいましたが、現在その姿を見ることはできません。その一方、19年前にウチダザリガニが確認され、現在は爆発的にその数が増えています。生息域も湖岸に沿って広がり、ミヤベイワナが産卵する川のすぐ近くまで迫っています。また、水草を切って食べてしまうために水草を産卵場所とするトンボなどへの影響も懸念されています。環境省や鹿追町は定期的に駆除を行っていますが、追いつかないのが現状です。
今回の駆除体験会は、「ザリガニと身近な水辺を考える会」メンバーの田中一典さんによる外来生物のお話からスタートしました。
田中さんが強調したのは「飼わない、捨てない、広めない」の外来生物三原則です。外来生物が北海道の生態系に与えるダメージへの認識不足や、「かわいそうだから自然に帰す」といった誤った認識が外来生物の拡散を招いています。
特にウチダザリガニは特定外来生物に指定されており、禁止されている飼育や放流、持ち運びなどに対して罰金や禁固の罰則があります。繁殖力が非常に高く、目につくようになった時点では根絶はほぼ不可能です。北海道では道東の湖や川を中心に生息域が広がり、大きな問題になっています。然別湖のほかにも阿寒湖や春採湖で天然記念物のマリモやヒブナへの影響が心配されています。
講座の後は湖岸に出て、許可を得て前日から仕掛けておいたかごの引き上げを見学しました。4つのかごにはたくさんのウチダザリガニが入っていました。また、札幌のダイビングショップ「ポセイドン」のダイバーによる駆除も見学しました。
駆除したウチダザリガニは参加者の協力で雌雄の判別とカウントを行いました。捕獲数はダイバー、かご獲り併せてオス282匹、メス283匹。正直なところこれだけの数を駆除しても「焼け石に水」ですが、少しでも多くの方々にこの体験を通して外来生物問題を知ってもらうのが一番のねらいです。
駆除したザリガニは、すべて殺処分しなければなりません。奪った命を無駄にしない意味から、ゆでたザリガニはみんなで食べました。楽しみながら、外来生物について考えた一日となりました。
(事務局 野谷 悦子)